IPv4枯渇とこれから

IPv4枯渇 インフラ
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色々と新しいプロジェクトが重なり、前回の記事投稿から何ヶ月も経過してしまいました。秋の色も薄れ、すでにコートが必要な季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。

ニュースでも報じられたIPv4枯渇の問題について、ちょっとだけ噛み砕いてみました。

IPv4とは

インターネットを利用されていれば一度は聞いたことのあるIPアドレス。よく目にするのは

192.168.0.1

の様なピリオド区切りの4つの数字です。これはIPv4と呼ばれており、各数字が0から255(16進数で00からFF)の値を取るため、256×256×256×256≒43億通りが存在します。このうち、使えないものも存在するため、一般に利用可能なアドレスは35億もないと言われます。世界人口が77億らしいので、2人に1つもない状態です。今やPC、スマホ、インターネットTV、IoT機器と、一人ですら数個〜数十個のIPアドレスが必要な時代なのに、です。
TCP/IPが開発された当初(1970年代)は世界人口が40億程度だったため、これで十分と思われたようです。

2000年頃からは急速にインターネットの利用が広がり、枯渇が本格的に懸念されるようになりました。そこでIPv6と呼ばれる新しいIPアドレスの仕組みへの移行が検討されるようになってきました。IPv6は、2の128乗、約340澗、約3.4×10の38乗、340兆の1兆倍の1兆倍、34の後ろにゼロが37個

約340,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000個!

というとてつもないIPアドレス数を使えるため、今の所絶対枯渇しないだろうというモノです。

ただ、IPv4からIPv6への移行は簡単にはおこなえません。鉄道の世界で言えば広軌と狭軌のようなもの(商用電源の50Hzと60Hz、100Vと200Vなんかは簡単な方で、もっと大変な違いです)。そのため、実験は地道に行われていましたが、なかなか普及には至っていないというのが今までの状況でした。

三線軌条

(WIKIPEDIAより 三線軌条)

 

今回報道されたIPv4枯渇とは

今回報じられたのはRIPE NCCと呼ばれるヨーロッパローカルのIPアドレスを管理する組織でのIPv4が枯渇したというものです。

地域インターネットレジストリ

(WIKIPEDIAより)

世界全体のIPアドレスを管理するのがIANA、その下位組織にARIN(北米)、APNIC(アジアパシフィック)、RIPE NCC(ヨーロッパ)、LACNIC(南米)、AFRINIC(アフリカ)があり、IANAは2011年に枯渇、APNICも2011年にほぼ枯渇、ARINは2015年にほぼ枯渇、LACNICは2017年にほぼ枯渇、RIPE NCCが今回ほぼ枯渇の状態となった事が報道されました。残るはAFRINICですが、これも時間の問題のようで、2020年3月に枯渇すると言われています。

すなわち、ほぼ世界でIPv4が枯渇となったという意味として理解して良いかと思います。

なぜか映画を思い出す

この状況を聞き、思い出したのがなぜか映画「トータル・リコール」(1990)でした。

インターネット(火星)には、30年前(50万年前)に作ったIPv6(リアクタ)があり広大なIPアドレス(大量の酸素)が供給できるが、インターネットを支配するGAFA(採掘業者)にとっては面倒な事なので、ずっと隠されている。それを始動すれば皆が窮屈なIPv4から開放されるのだ。

GAFAのあたりは適当なので信じないでくださいね。
アーノルドシュワルツェネッガー

(WIKIPEDIAより)

IPv6への移行は映画ほど簡単でもないのですが、そろそろ一気にIPv6へ流れ出すのではないでしょうか。

ちなみに個人的には鼻の穴から発信機を取り出すシュワちゃんが好きです。(年齢がバレますね)

そして何が起きるのか

一気にIPv6に傾くとなれば、様々な需要が発生します。

簡単に思いつくだけで色々あります。多くのハードウェア、ソフトウェアがすでにIPv6レディの状態だとしても、全世界的に発生するのであれば、特にIoT系機器や家庭用機器は大量な需要となりますし、エンジニアも確実に不足するでしょう。

現時点でもエンジニアは不足していると叫ばれている状況です。日本では2020年に20万人が不足という予測です。これにIPv6移行が含まれているのか不明ですが、輪をかけて深刻な状況となるのではないか、と予測しています。

そして機器の問題。2000年問題と同様どこに影響が出るのかわからないといった状況も生じると思います。IPv6に対応できているはずの機器での不具合が大量に発生、更にすでに販売元が存在しない機器などの置き換えが必要になります。しばらくはIPv4とIPv6の混在を許容させるネットワークが利用されることとなるでしょうが、ISPなどは投資がかさむことになるかもしれません。

産業は活気づくと思いますが、IPv6に対応できない機器が大量に廃棄となったり、「おたくの機器はxx年に使えなくなりますよ」といった不審な訪問販売やSPAMも出てくるのではないかといった懸念もあります。10年持つといわれたLED電球も、IPv4に対応していたばかりに買い替えとなるかもしれません(半分冗談です)。

いろいろな産業の機器のライフサイクルを考えると、IPv4とIPv6の双方が使われる期間はあと15年くらいはありそうです。一般家庭はあと5年くらいで一気に移行するかもしれないですね。楽しみでもあり、恐くもあります。

そんな当社はまだIPv6ネイティブではありません。さあてこれから来るIPv6の荒波をどう乗り越えるのか、身震いします。まずは勉強ですね。もしそんな我々に「IPv6なんて簡単だよ!」と言ってくれる同士がいてくれたら…。インフラやDevOps好きな同士を募集しております。