OKRのこれはやってはいけない

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最近流行(というと語弊がありますか?)のOKRを弊社でやろうという方向性になりました。社内のOKRを知らない人向け、そして社外でOKRの実例を見たいなという人向けにOKRの記事を書ければなと思っています。そのため、記事は数回に分けて書いていく予定です。

なお、流行というだけあって、書籍をはじめウェブサイトでもいっぱいOKRの解説があります。詳しく学びたい方はそちらをおすすめします。

まずはOKRの概略と、「やってはいけない」事柄を紹介します。偉そうに書きますが、OKRはそもそも「こうしなければならない」というルールが厳格に決められたものではありません。そのエッセンスをフイにしてしまわないよう、過去のOKR実践者のノウハウを集め、自社のOKRを成功させるべく記事にしておこう、そういう感じです。

OKRの来歴

OKRは、Googleが採用していることで有名ですが、CPUで有名なインテル(INTEL)が最初に導入したようです。その後Googleに取り入れられ、世間に広まっていったという事のようです。今ではfacebookLinkedInメルカリが採用している事で有名ですよね。

MBO(Management by Objectives:目標管理制度)が元で、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とかを経て、OKRとなった様ですが、難しいところは省略しましょう。

OKRとは

さて、そのOKRですが、「Objectives and Key Results」の頭文字を取ったものです。日本語の直訳だと「目標と結果指標」となります。正直「それ何美味しいの?」状態です。これがまずOKRの取っ付きにくいところではないかと思います。「定性的目標と定量的指標」とすれば少しは意味が伝わりますかね。う〜ん。

私が学んだ書籍「OKR - シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」では以下のように説明されています。

第一に、人を鼓舞し、効果を測定できるようなゴールを設定すること。
第二に、やることがほかにどれだけあっても、自分とチームが常に望ましい最終形態に向けて進むようにすること。
第三に、チームのメンバーが目標を忘れず、かつ各メンバーが責任を自覚できるような習慣をつくりだすこと……である。

達成すべきゴール(O)がまずあり、それが実現した際に達成できている結果(KR)を書き出して設定すること、それがOKRの本質といっても良いかもしれません。

OKRは、O(ゴール)を定性的なキーワード(例えばビジョンやミッションで使われるような表現)で定義し、その達成を客観的に評価できるKRを定量的なキーワード(例えば金額、数量など)を使って指標とします。定性的なものと定量的なもの両方を設定することにOKRの凄さがあるのだと思います。

Googleでは社内の人事施策の知見をre:Workとして広報しています。

Google re:Work(リワーク) は、データ分析を基に考えられた人事施策について、Google(グーグル)が他の組織と一緒に共有し推進しようとする取り組みです。

そのre:Workの一つのコンテンツとしてOKRについても記載されています。前述の通り、GoogleはOKRを実践的なものとするのに大きな影響を与えており、その実践を垣間見ることができます。

Google re:Work - ガイド: OKRを設定する
目標を定めて取り組むと、従業員のパフォーマンスは改善します。Google でよく使われるのは、「目標と成果指標(Objectives and Key Results:OKR)」という手法です...

KPIとの違い

先程も書いたとおり、Oが先にあってKRが結果です。またKRは自らが考えて設定するものであり、上から与えられるものではありません。その点で上位組織から指標が示されるKPIと異なると言われます。(一部では正反対とも書かれています)

確かに自ら設定するKRならば達成しようとやる気が出ますね。ただKPIもブレークダウンをやるならば各自で設定可能な気がします。KPIはKGI(Key Goal Indicator:経営目標達成指標)や上位KPIとの紐付けも必要なことであり、またKGIの分析によってCSF(Critical Success Factor:重要成功要因)を確定させるという点も求められています。そう考えると「KPIの一式を経営層が決定する手法」と比較すると、OKRは現場が自ら決めるという点で正反対なのかもしれません。

やってはいけないこと

さてここからが本題です。OKRの始め方は他の記事や書籍に譲るとして、OKRのセオリから見た「やってはいけない」事柄をまとめていきます。

OKRについて十分説明せずに導入する

Googleはこう言っています。

OKRで重要なのはその透明性です。OKR を組織に導入するときは、OKR とは何か、なぜそれが有用か、そしてどのように使用するのかを明確にしましょう。納得した目標を目指すと、人は高い実績を上げられることが研究によりわかっています。そのため、全員が積極的に目標に関わることが重要です。

OKRに懐疑的な人がいるのであれば、十分説明し、疑問には答える必要があります。OKRは組織の皆が同じ方向を向き、力を合わせることで組織として大きな力を発揮する効果がありますが、それは「皆が同じ方向を向く」ことが前提になります。

組織のミッション/ビジョンを決めずにOKR

OKRは連鎖していなければなりません。つまり、会社のOKR→グループのOKR→個人のOKRとつながっています。会社のOKRは企業ミッションやビジョンがそのままO(目的)となるケースが多いはずです。会社のミッションやビジョンを明確化せずに全社のOKRを導入しようとしても、それは最終的に会社の目的とは違ったOKRが進んでしまうということになります。

ここで言うミッション、ビジョンは本当の企業の目的を反映したものである必要があります。取って付けたような「お客様、地域社会に貢献する」なんて曖昧なものだと、そこからのOKRが続きません。可能であれば、という話になりますが、今一度ちゃんとしたミッション、ビジョンを再考する必要があるでしょう。

影響範囲外に依存したKRを設定してしまう

よく見かける個人の目標として、「xxプロジェクトの不具合10件以下」のようなものがありますが、本人以外の出した不具合で目標達成できずとなってしまうケースが多々あります。

PMやPLがそのようなKRを設定することは影響の範囲内であるので問題ありませんが、影響を及ぼせないものに依存したKRは結局「xxさんが作業遅延したため達成できなかった」等、(致し方ない理由ではあるものの)言い訳を生んでしまいます。これではOKRの意味がないどころか、また評価もされないために、OKRの大きな目的である「やる気を育てる」に逆行してしまうため、OKR設定時にチェックしてその個人(あるいは組織)がコントロールできる範囲でのOやKRを設定するように修正していかなければならないのです。

OKRを作りっぱなしにする

企業や組織にとってのゴール(目標)は、一度伝えてもメンバに浸透することは決してありえないと考える必要があります。日本の企業であれば真面目な社員が多いので大丈夫だろうと思われがちですが、人が物事を理解するのには多くの努力が必要です。

レベルの変化はこんな感じかと思います。

「知らない」→「知っている」→「理解している」→「説明できる」

「知っている」状態から「理解している」や「説明できる」への距離は意外と離れています。日々それを伝えることでようやく浸透していくのです。

浸透しなければOKRを始めた意味がありません。四半期後あるいは1年後、結局やらないのと同じだった、なんてことに成りかねません。本気でOKRをやるなら毎日言うくらいの努力が必要でしょう。

ただ、「OKR - シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」では「OKRに挑戦する企業は最初はたいてい失敗する」とも言っています。失敗を恐れず、繰り返すこと、そして失敗の影響が大きなリスクとならないように(チーム単位など)小規模に始める、全社のOKRを一つに絞るなどの方法があるとも言っています。

最初からうまく機能すると期待してしまう

OKRは非常に良い仕組みですが、取り組んだことがない企業、特に日本的な企業へは浸透が難しい気がします。それはここまでで説明した様々な理由からですが、特に「和を以て尊しと為す」「出る杭は打たれる」といった事が問題になりそうです。

前述の通り「OKR - シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」が書かれたアメリカの企業であっても「OKRに挑戦する企業は最初はたいてい失敗する」と言っています。日本で失敗するのは当たり前と思って取り組むのが良いと思います。

とはいえ、近年日本人も、日本企業も、今はどんどんグローバルの考え方が浸透してきています。その流れであればOKRも最終的には成功するものと信じています。

年間目標としてしまう

OKRは急速に成長あるいは変化する企業で採用されていることもあり、目標を長期間固定しておく用途にはあまり適しません。いや、逆に、OKRは3ヶ月くらい先のゴールに向かって突き進むためのツールと考えて良いかもしれません。なので、個人レベルのOKRは3ヶ月を目安として設定し見直していくのが望ましいのです。

ただ、組織としてのOKRはもっと長いスパンであっても良いと思います。Googleも「組織の OKR を 1 年ごとと四半期ごとに評価して共有するのが慣例」だと言っています。大きなプロジェクトなどを擁する組織では四半期ごとに見直しつつ1年後のゴールを設定するというのはアリということです。

それ以上の期間を要するプロジェクトとなると、それはやはりWBSを作って、それぞれの期間でのゴールを設定していかないと、何に向かって進んでいるのかが不明確となってしまいます。

OやKRをいくつも設定してしまう

Oについてはインテル式とGoogle式で意見が分かれるようです。

インテル式は「Oは一つにしろ」。これは「何もかもが重要というのは、どれも重要でないのと同じこと」ということで、一つにフォーカスしなさい、ということです。

Google式では、「3〜5つの目標を設定し、優先順位を設定する」「目標は多すぎてはいけない」。何が一番重要かを決定しておく意味ではインテル式と同じです。

この違いは、業務割り振りの違いが現れているのかもしれません。普段から一人が複数のプロジェクトに関わる現代的企業ではGoogle式が馴染むと思いますが、優先順位付けは必ず行う必要があります。

他方KRは3つ程度を設定します。1つでは、取り巻く情勢が変化した際に設定した指標の意味が失われる恐れがありますし、そもそも1つのKRで表せるOなどまず存在しないからです。多すぎるKRも、Oに対する意識を弱めてしまいます。ここは3つのKRを原則として考えていくべきです。

KRが簡単すぎる、難しすぎる

KRは「相当頑張ったらできるかも」というレベルで設定します。高すぎる目標となってしまうと、「できるわけない」となってしまいます。Googleの言葉で言えば「若干気後れするくらいの高いレベル」を設定するということです。いわゆる「ムーンショット」を設定し「ルーフショット」ではダメということになります。

また簡単すぎる目標や「現状維持」の目標もダメと言われます。Googleの言葉では「さらなる高みを求めない表現」はダメで「ストレッチゴール」でなければならないのです。インテル式に言えば「サンドバック」はダメです。

インテル式では、最初に達成に対する自信を10段階の5あたりになる様に設定します。はじめから1や10ではダメということです。Google式でも、達成度合いを0.0〜10.0で表しますが、平均が0.6〜0.7となるべきであると言っています。皆が達成してしまうKRでは意味がないということです。

この目標設定を見ていると、TOC(Theory of constraints:制約条件の理論)のプロジェクト管理手法である、CCPM(Critical Chain Project Management:クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)の「五分五分の見積」に通じるものを強く感じます。

直接人事評価に直結させてしまう

冒頭にもある通り、OKRの大きな目的は、人を鼓舞し、個々人の能力を最大限に引き出すことです。

人事評価に直結するとなると、KRの数字が萎縮してしまいます。萎縮させた上で100%達成してしまえばよいのですから。それはOKR本来の目的から逆行します。

人事評価は別にMBOでやっている会社もあり、またコミット型OKR(100%達成が前提)とストレッチ型OKR(本来のOKR)を併用して、コミット型OKRで人事評価するという会社もあるようです。

途中で安易にOやKRを変更する

OKRはその期間中に変更してはいけないと言われます。なぜならば目標を100%達成することが目的ではないからです。

KRの目標が高すぎたら、その経験を生かして次の四半期で調整すれば良いことです。インテル式では、変更すると「フォーカスが曖昧になる」「真面目に取り組まなくてもよいという印象を与えてしまう」という理由でダメだと言っています。

Googleではチーム単位での見直しを容認しており、「Google の場合、チームによっては四半期の中頃に再検討を行うと効果があり、メンバー全員が同じ目標から目をそらさず進めるようです。」と説明しています。

定期的なOKR確認を省略してしまう

OKRは設定だけでは意味がありません。定期的(通常週次)な確認がかなり重要です。インテル式では「月曜日のOKRチェックイン・ミーティング」「1on1(ワン・オン・ワン:個別面談)」と「金曜日のウィン・セッション」が必須だと言います。週次で確認していくことで、状況の変化とそれへの対策が見えてきます。それを元にPDCAを回していくことが重要です。

特に1on1は重要になります。チームの定例会議では個別の状況までなかなか踏み込めません。OKRでなくとも1on1のメリットは各所で言われています。ぜひ実践しましょう。弊社も1on1はあまり実施されていません。これを期に活発な1on1が行われることを期待しています。

個人のOKRを非公開としてしまう

OKRは人事評価指標ではないため、非公開とする理由もありません。インテル式では、週次で作成するOKRボードがグループ内で公開される前提で作られています。

Googleでは社内イントラネットで他の人のOKRが見れるようになっています。他の人が取り組んでいる内容を見て協力を申し出ることもあると聞きました。

これらから分かる通り、OKRを非公開とするメリットはありません。共有し組織の活性化につなげましょう。

そして弊社では…

つい先日、弊社内でOKRを導入しましょうという話がありました。社内は「なにそれ美味しいの?」状態です。

こういう記事を書くと「すげえ良く知ってる奴」と思われるかもしれませんが、私自身もOKRの本を読んだのは一ヶ月前。私も「わくわくドキドキ」状態です。会社としての方針もまだ十分聞けていないですし、このブログの「やってはいけない」ポイントにハマってしまうかもしれません。

ただ、こういう新しいことにチャレンジするのは非常に楽しいです。上記の通り、「失敗するのは当たり前」らしいので、この記事の続きは「OKR、やってみたらこうだった!」という内情暴露な話を書けたらいいなあと勝手に思っています。

まとめ

OKRは、非常に良い取り組みだと思います。ただ実際に手を動かし、活動するのは現場の人々です。仕組みだけでは組織は動きません。その点でOKRは単なるツールですが、Googleやfacebookが採用しているという事からして効果が高いのだろうと理解しています。

ぜひ皆様の組織でも導入を検討されてはいかがでしょうか。導入に至らなくても、検討する中で新しい発見があると思いますよ。

流行に乗り遅れまいとミーハーな弊社ですが、OKRを体験してみたい方、一緒に働きませんか?あるいは「OKRなんて当たり前でしょう」というスゴい方、ぜひとも弊社にOKRを教えに来てください。よろしくお願いいたします。