
災害時に携帯電話や固定電話よりもPHSの方が繋がりやすいということで弊社グループでも導入していたのですが、PHSは2020年7月末で終わってしまう事となり、代替策が必要になりました。
導入当時とは事情が様々に変化していますので、ゼロベースで考えた方が良さそうです。
なぜ災害時に電話が必要とされたのか(家庭編)
- 罹災することで、まず家族の安否を確認したくなります
- 次に自宅の損害など生活を脅かす事態の確認が必要です
- 最後に罹災の状況について、周囲に伝達する必要があるでしょう
これらの行動に「情報の伝達」が必要になります。20世紀だったら電話が重要な伝達手段だったと思います。今の時代は、昔と違って電話である必要はありません。ご存知LINE。これが最近では有力な情報伝達インフラとなっています。そして電話以上のメリットとして、相手が忙しくても的確に情報が伝えられ、写真などの情報も送ることができます。必要ならLINEで通話もできてしまいますよね。
災害発生時に企業の取るべき行動は?
企業が罹災した場合はどうでしょうか。
- 企業の社員の安否を確認する必要があります
- 資産(ビルとかサーバとか、サービスとか)の損害状況を把握する必要があります
- 発生した損害などの対策をおこない、活動可能な社員を駆使して企業活動を維持することになります
PHSを災害用に使う場合、社員の安否を確認となると、全員が会社支給PHSを持つことが前提となってしまいます。いや、さすがに煩雑でコストが高いから役職者のみ?一般職の安否確認は不要?(いやそんなことは…)ということで一人月額数百円で安否確認サービスが提供されていたりするのですね。
損害状況の確認と集約はどうでしょうか。これもやはり昔と違い監視カメラ、写真による確認、ネットワークから自動的な情報集約がされる時代です。ただし、大前提として自社ネットワークなりインターネットなりが稼働している事が必須です。
そして対策の実施です。今やSaaSやASPなどのインターネットサービス活用は当たり前、テレワークで自宅でも仕事できることも普通になっている時代、災害でも停止されては困るサービスは十分なSLAを締結しているかと思いますし、インターネットの重要性が更に高まっていることで、滅多な災害でない限りはインターネットが利用できる環境は維持される前提として良いかと思うのです。
で、結局災害対策に電話は必要?
と、ここまでいろいろ考えてみると、電話が必要な場面ってほぼ無いのではないか、いや正確に言えば、各自が持っているスマホでLINEさえ動けば十分なのではないかとの結論に至ります。
ただし、
「スマホのインターネット接続がLINE程度の通信量は維持できる」
「スマホの充電には困らない」
といった前提はあります。
前者は年越しの「アケオメメッセージ」で輻輳し、「バルスツイート」でTwitterが空飛ぶクジラを出した(すみません落ちたのは2chでした)過去がありますが、年々と緩和されてきています。そういう意味ではインターネットはその直後を除き大丈夫と考えて良いのではないかと思うのです。
後者の「スマホ充電問題」は北海道の大規模停電では問題となりました。社内のPCやルータも停電していては通信できません。災害対策では電源の確保を考えたほうが良いのかもしれません。
企業における電源確保
企業のすべてを維持するための電源確保は困難と思います。北海道の停電のときはデータセンタですら非常発電機の燃料確保が綱渡りだったと言われています。
であれば何のための電源を確保すればよいのでしょうか。
最低限確保する必要がありそうなのは、データセンタ/ネットワークサービスに接続するための設備、ノートPCとルータ、一部のHUBの電源だけでも良さそうです。VPNがあればスマフォのテザリング+ノートPCでもなんとかなりますね。あとは物理的なものとして懐中電灯くらいでしょうか。最悪それくらいで仕事になるかもしれません。
最近ではビルで自家発電を持っていて、数十時間ならばいつもと何も変わらないオフィス利用ができるところもあるようです。
残念ながら弊社のビルはそのような機能はない様子ですので、以下のような設備を検討してみました。
[一次電池] 古河電池 MgBox / MgBox slim
非常時には2リットル(Mg Box)あるいは1.5リットル(Mg Box slim)の水を注ぐことで電池として機能します。一次電池のため充電はできません。
発電量は300Wh(Mg Box:スマフォ30台分)/200Wh(Mg Box slim:スマフォ20台分)です。残念ながらUSBでの給電しかできません。
乾燥重量1.6kg(Mg Box)/1.0kg(Mg Box slim)と軽く、標準5年〜最大10年の長期保管が可能なため、非常用倉庫などでの保管が可能です。使用後はUSB変換部分以外は一般ごみとして廃棄可能です。
価格は22,000円(Mg Box)/16,000円(Mg Box slim)程度です。
[一次電池] エイターナス(Aeternus)
非常時には保存袋から取り出すことで電池として機能します。一次電池のため充電はできません。
発電量は540Wh(スマフォ54台分)と大容量です。100VACとUSBが利用できます。もっと大容量を希望する場合は電池部分を最大3つ接続することで3倍(1620Wh)の容量が利用できます。
標準5年〜最大10年の長期保管が可能なため、非常用倉庫などでの保管が可能です。使用後の空気電池部分は一般ごみとして廃棄可能なようです。
価格はインバータの分高く、63,000円程度のようです。ただ空気電池部分のみでの購入も可能なようですので、大量購入時は実質価格はもう少し安くなるかもしれません。
充電式の例






いずれもUSBと100VAC出力を持っていますが、災害時に100Vを使う場合は200Wh以上でないと実用的ではない気がします。
また中身のほとんどがバッテリのため、重量はかなり重くなり、また常に充電しておかないと非常時に電池が空っぽという悲しい事になります。
電源の次は?
皆様の会社では、ヘルメット、非常食料、非常用水などの備蓄は大丈夫でしょうか?万が一の際に困ったことのない様、備蓄場所の周知確認、定期的な数量・期限の確認が重要です。
そしてIT化の進んだ現代、電源の確保も重要です。非常時に電源に困らなくて済むというのは、現代においてはものすごく重要な事と先日の北海道大停電で思い知らされました。
その次にはBCP(事業継続計画)に沿った備えになるかと思います。業務は何を優先し、何は諦めるのか、ビルが倒壊したら?交通が麻痺したら?
電源から先は各社の置かれた状況によって変わっていくと思います。皆様の会社ではBCPを策定されていますか?定期的に見直されていますか?
弊社に興味がございましたら、是非ご連絡ください。